まさか自分が被虐待児

機能不全家族
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毒親に関する書籍やブログを読んでいて気づいたことがある。
自分の症状が「虐待被害者の傾向」ととても似ているのだ。

本の中には、壮絶な虐待を受けながらもその事実を記憶の奥底に閉じ込め、カウンセリングによって徐々にそのおぞましい記憶が蘇っていく大人達の例が並んでいた。
みなはじめは口をそろえて「大した事はない」だったり、親への感情をひた隠しにしていたりするのだ。カウンセラーは目線の動きで察知する。

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わたしにもそんな隠された事実があるのかもしれない?と記憶をいくら掘り返してみても、母には叱られるときに引っぱたかれたりすることはあったけど、いわゆる虐待らしいひどい暴力やネグレクトなどの「虐待」ということはなかった。

ただ、そういえば、姉のドラミがよく叱られていたな、、、と思い出す。

姉は虐待されていた

夕飯の食卓での怒鳴り声。ほとんどが姉ドラミに向けられた母の声だ。
毎日毎日ピリピリした母、聞き分けがなく口答えばかりのドラミに母はしょっちゅうキレていた。

食事の最中に、食卓を叩いて恫喝したり、突然立ち上がったと思ったら台所からボウルに水を汲んできて食卓挟んだ娘に向けてザバっとぶっかけたりした。
食事中でも孫の手を握ってドラミを追いかけ、捕まえ、孫の手の裏面でお尻や太ももを跡が残るほど思いっきり叩いた。

食卓で晩酌をして毎日すっかり酔っぱらっている父親は「もう、かーさん、やめときんかいな~」とヘラヘラするだけで、だれにも止められないし助けない。

私は母親のヒステリーが怖くて、止めたこともあったと思う。まだ4歳くらいのころだ。
「おかあさん、もうやめてよ~!」と泣きながら止めようとした記憶がある。

狂暴な母

ドラミの辞書には「親(他人)のいうことを聞く」という文字はないため、もちろん食卓以外でも母のヒステリーはしょっちゅうだった。

孫の手で追い掛け回されたドラミがトイレに逃げ込み鍵をかけると、母はわざとものすごい足音を立ててドラミの部屋へ行き、大好きなアイドルのLPレコードを持ち出した。
トイレの扉の前で「ドラミ!出ておいで!出てこなかったらレコード割るからな!」と脅す。
「やめて!やめてよ!!」と中から姉の声がするが、出てはこない。
すると、母はその場でレコード盤を出し「割るでー!」と言い、膝を使って「バリン!!」と本当に真っ二つに割ってしまったのだ!
「ほら、もう一枚、割っていいんか?!割るで!?」

姉は大泣きしながらトイレから出てきた。
無残に2つに割れたレコードを胸に抱いて部屋に戻り、しくしくべそをかきながら呆然としていた。
少ないお小遣の中から買ったドラミにとって大切な大切な宝物。
感情に任せてそれを自分の手でぶっ壊せてしまう鬼母。
衝撃的な出来事で、当時のトイレの扉の色まで詳細に映像を覚えている。

それも虐待です

幼い私にはピリピリした空気、母親の不機嫌、暴言、姉の口答え、争い、すべて恐怖だった。
自分はとにかく良い子にしていたので怒鳴られることはなかったけど、もしかすると母の姉への暴力を毎日のように見ていた事で、自分は虐待を受けていないのにまるで受けたような影響が出てしまったのかもしれない。

そのことをある日カウンセラーに伝えると思いがけない答えが返ってきた。
「いいえ、違いますよ、見るだけでも、見せるだけでも、虐待なんです。」
それを聞いて私は固まった。つまりそれは、私も虐待されていたということになるの?
「そうですか、、」としばらく困惑したが、すぐに合点もいった。
点と線がつながって謎が解け、自分が虐待を受けていたことが悲しく、その場で泣いた。

認識の難しさ

カウンセラーに「それも虐待ですよ」と言われ、「そうなんだ!」と頭では理解してもまだ尚、私の中では、「虐待みたいなもの」とか「虐待と同じ状況」という認識で、虐待そのものとは「別枠」という理解だった。
虐待やDVなんて自分には関係ない事だと思ってたから今まで調べた事もなく、本当に無知だった。

ところがTwitterでACアカウントをはじめてからは情報がどんどん入ってくるようになり、私は「面前DV」とか「DV曝露」という言葉を知る。
ネーミングの威力は大きく、名前さえあれば簡単に調べることができるのだ。

そこで私は、自分が「虐待と同じような影響」ではなく、「面前」というひとつのジャンルの「虐待」を受けていた完全な「被虐待児」であると知った。
しかも「身体的DVを受けた本人」よりも深刻な影響が出る部分や場合もあるという専門家もいた。
それぞれの辛さを比較することはできないが、面前であっても、暴力を受けた本人と同じように深刻な影響があるということはわかった。

自分に長年起きていることの深刻さを始めて理解する。

自分を知るために

アダルトチルドレンの多くは生まれた時からその環境で育ったため「それが普通」「みんなそう」と刷り込まれている。
そして誰も自分の親が異常者、悪人だとは思いたくない。
私も自分の家庭は「異様に騒がしいパワフルな家庭」程度の認識だった。
加えて私の場合「自身が暴力を振るわれる」などのわかりやすい虐待じゃなかった事で、より認識が難しくなった。
自覚のなかった「被虐待児」がそれを認めるには、自分が全人生をかけて構築してきたアイデンティティを一旦壊さなきゃいけない。それがなかなか難しく辛い作業になる。
が、本当の自分を取り戻すのには必要不可欠なプロセスなのだろう。

その機会と知識を与えられた自分はまだ恵まれているのかもしれない。
一人でも多くの、無自覚で苦しんでいる被虐待児、アダルトチルドレンが事実に向き合い、解放されますように。

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