あんたがガマンしたらええ

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傷ついた出来事は、幼い頃のことでもいまだに詳細に覚えているのだなと自分でも驚く。
仲良くしていたあるお友達ファミリーとお出かけした時のこと。

幼稚園の頃、毒母とチビ子と、仲良くしていた同じ幼稚園のママ友と友達とその妹(3歳くらい?)の5人で、自転車で近くのショッピングモールに出かけていた。

私たちはある幼児向けのゲーム機で遊んでいた。
「エ~ッサエ~ッサエッサホイサッサ♪」という曲に合わせて、からくり人形のおさるさん2匹が、籠を担いで登場する。
「おさるのかごやがホイサッサ!」でペロリと籠のすだれが開くと中に動物が乗っているのだが、3種類くらいの動物がランダムで出てくるのでそれをボタンで当てるというかわいいギャンブルゲームだ。
連続で当たりが出ると景品のキャンディが出てくる仕掛け。

互いの母親とちいさな妹ちゃんが見守る中、友達と交代で楽しくおさるゲームで遊んでいたのだが、なぜかその日の私は神がかっていて、連続大当たりを出した。
「チビちゃんすごいね~~!!」とみんなに褒められて浮かれたのだが、景品の取り出し口をいくら探してもキャンディが出てこない。ハテ?

しばらく探したけどやっぱりなくてちょっとしょんぼりしたが、毒母に「しゃあないやん、切らしてるんやろ、ええやんアメちゃんくらい」とアッサリ諭される。店員にちょっと聞いてくれてもいいのに。
友達のちいさな妹もいるし、なんとなくゴネてはいけない気配を感じ、みんなもガッカリしたムードでゲームはやめ、気を取り直して友達とその辺の広場を駆け回って遊んだ。

その後友達ファミリーと別れて母の自転車の後ろに乗せられ帰っている途中、もう気を遣う必要がないと思った私は、やっとモヤモヤしていた事を口にする。「なんでキャンディ出てこなかったのかなあ」
せっかく自分の運の力で勝ち取れた筈のものや嬉しい出来事がなかったことになり、本当はとても心残りで残念で悲しかったのだ。
すると母は驚きの真実を語った。

「ああ、あのあと何かしよったらアメちゃん出てきたで、だから妹ちゃんにあげといたで。あんた別にあんなんいらんやろ」

え?!えええええええ!!!?なんでそんな勝手な事するん?
「あんなん」と言われても見てないしわからん!!!

「え、どんなアメちゃんやった?何個?何味?どんなやつ?なんで知らせてくれなかったん?チビちゃんも見たかった・・」
ほんとになんで今まで黙ってたの。なんで聞くまで言ってくれないの。あんなんいらないってチビ子の気持ちをなんで勝手に決めるの。
そんな気持ちをうまく言葉にできずに「チビちゃん欲しかったのに・・・」と言ってしまった。

案の定母親はイライラした口調で叱責した。
「アメちゃんくらいまた買うたるやんか!ちいさい妹ちゃんにあれくらいあげたらええやないの!!」

違う、チビ子は何もあげてない。
おかあさんがチビ子のアメを勝手に奪って勝手に人にあげただけ。
あげたのはチビ子じゃない。チビ子は奪われただけ。

あげたかったよ、みんなで一緒にどんなキャンディが出てきたのか見て、自分でじっくり喜びを堪能してから、チビ子が自分の手で妹ちゃんにあげたかった。
「どうぞ」「ありがとう」の儀式をして満足したかった。

そんな気持ちもうまく言葉にできず自転車の後ろでメソメソ泣いているとさらに叱責され、家についても母の機嫌は治らなかった。
もしかすると母自身も、あまり良い対応ではなかったという自覚が無意識にあったのだろうか。

よその子原理主義

特に幼い頃、毒母は私よりよその子を有無を言わさずに優先した。

自宅で近所のお友達と遊んでいて、明らかによその子に無茶を言われたり、理不尽なわがままを言われたりして揉めていても必ず私が叱られる。
友達もそれを知っているのですぐに毒母に「おばちゃ~ん、チビちゃんが~~」と悪くもないことをいいつける。

友達の前だけのポーズではない、わざわざ別部屋に呼び出され、母の前に立たされ、事情もろくに聞かずに理不尽に叱責される。「なんでアンタは友達と仲良くできないの!!!」
電気もつけず午後の日の当たらない暗い部屋。
私が悪いわけではない事情を説明しかけると、聞かずに即座にビンタされた。泣いた。
痛いからではなく、悲しくて泣いた。

「友達が来てる時はあんたがガマンせなあかんやろ!」そこに理由も説明も、納得できるものはなかった。
悲しかった。私を信じてくれる人も、味方も、いないんだな。
母は私よりよその子のほうが大事なのかな。

幼稚園~小学校低学年くらいまで、友達とあんまり遊ばなくなってしまったのはそのせいもあったのかもしれない。


他人への体裁ばかり気にしている毒親にはよくある傾向らしい。
自分がACと気づくまで、これは私の個人的な小さな悲しいノスタルジックな思い出だと思っていたけど、ACについて書かれた本の中でそんな事が書いてあり、やはりこれは毒親の言動によって自分の存在を傷付けられ、チビ子がACになるための重要な事件の一つだったのだと理解した。


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